2012.12.13 上越よみうりに掲載されました

「山嵐」のモデルを特定

大貫の勝山さん 「坊っちゃん」研究が完結

 

20131213日(金) 上越よみうり

 

 

元関根学園高校長で上越市大貫の勝山一義さん(77)が、夏目漱石の小説「坊っちゃん」の主人公のモデルについて考察し4年前に出版した「小説『坊っちやん』誕生秘話」の続編を発行した。「山嵐」のモデルを特定するなど、新たな成果を盛り込んでいる。

 前著では、小説の主人公「おれ」のモデルは、東京物理学校を卒業し地方の中学校へ赴任するまでが関根萬治(柏崎市生まれ)で、四国の中学校に赴任してからは堀川三四郎(新潟市生まれ)であるとの説を立てた。二人は宮城県角田町(現角田市)の中学校に勤務したことがあり、関根を漱石へ紹介したのが、漱石の教え子である堀川だった。「坊っちやん」の舞台は四国松山になっているが、漱石は堀川から角田中学校での出来事を聞いて、舞台を松山に置き換えて物語を展開したとする。赤シャツ、野だ、うらなりも、角田に実在した人物とつながった。

 関根は、勝山さんが校長を務めた関根学園高校の創設者という奇遇もあり、6年間の調査を経て2009年に前著を発行した。2007年の「小説『ぼっちやん』モデル関根萬治」と合わせて、3部作の完結編となる。

 今回の続編は、その後の研究・調査の成果を「文芸たかだ」に連載したものをまとめた。「山嵐」のモデルを、同じ角田中学にいた塩田弓吉であると気付き、生誕地の宮城県郡山元町などを訪ね、足取りを追う。塩田が在職した当時の角田中学校の出来事に立ち返って、当時の日本の情勢との関係も考察した。

 勝山さんは「日露戦争後に戦争熱があおられ、リベラルな校風から規律のある学校へメスが入れられていく学校の一つが角田中であり、それに気づいた漱石が批判する意味で書いたのが『坊っちゃん』だったのではないか」と分析する。「多くの学者が書いていないことに気付くことができた。日本の坊っちゃん研究に役立つことができてうれしい」と話している。

 たかだ越書林刊。A5,232ページ、1500円。春陽館、文美堂、知遊堂などで販売している。

 

 

 

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